素材との優しい会話

素材を念う

手に取りて

肌で改めてその質感と会話する

冷たさ

重み

ざらつき

きめの細かさ

それぞれの素材には性格がある

それ以上に

それぞれが語りかける

出会いは一期一会

手に取るその瞬間にも

彼らは優しく語りかける

手に取る前から

声にならない声で注意を引くものもある

あなたが無意識に気づいたのではなく
それは彼らがあなたへのアピールをしていたから

だから気づいた

気付かされた

優しいあなたには
優しい彼らが優しく微笑んでくる

あなたの気持ちがこの世界を作っている

あなたの気の持ちようが
この世界の反映となる

物言わぬ彼らは
人間様よりも遥かにレベルが高く
我々など足元にも及ばない

搾取されても踏みにじられても
彼らは文句をいわない

そんな大きな愛を我々人間は
果たして持つことができるだろうか?

もちろん私たちにはできる

だからあなたもできる

私に聞こえるこの声にならない声たちは
あなたにも聞こえている

ただ静かに

ただ静かに耳をすませば

目を閉じて
ただ心を空っぽにすれば

彼らの息吹が聞こえてくる

この世のローテクは
実はハイテクの究極の姿

自動装置の完全形態が
彼らがまとっている精密な
機械的な作りとなっている

彼ら全てが語り合い
その連鎖の中に私たちは只居る

なんとダイナミックなシステムの中で

身体中の細胞が歓喜の声を上げて
生まれ変わっていく


次の瞬間はまた
新たな私へと生まれ変わる

彼らの掛け声とともに